主幹事証券会社とは
主幹事証券会社とは、企業が株式を発行して資金を集める際や、そもそも新規に株式を公開する際、関連する証券会社を取りまとめ、株式の発行などの取引が円滑に進むよう調整する役割を担う証券会社のことを指します。この主幹事証券会社の会社名が「目論見書」などの書類の一番上に書かれることが多いため、主幹事証券会社のことを「トップレフト」と呼ぶこともあります。
一般的に、企業が新しく株を発行したり、IPOを行う場合、単独の証券会社からその株が売りに出されることはありません。企業からすれば、より多くの人、そしてより高い株価で自社の株を売却したいため、より多くの証券会社から自社の株を投資家に向けて売却したいと考えます。しかし、株の販路を確保するために、一つ一つの証券会社と交渉し、株価を決め、その証券会社から何株売るのか、といった条件を決めていくのは非常に労力がかかります。そこで、企業は主幹事証券会社というのを決め、その主幹事証券会社とだけ条件を話し合い、その後の販路の確保や手続きなどは全て主幹事証券会社に任せることで、労力を削減しています。このように、主幹事証券会社は資金調達を行う企業のコストを抑えながら、企業のニーズに応えるために、契と取りまとめ、多くの金融機関との調整を行う役割を担っています。
IPOで大きな影響力をもつ主幹事証券会社
主幹事証券会社は、一般の個人投資家にとって関係してくるのはIPO銘柄への投資を行う場合です。企業が新規に株式を公開する(IPOを行う)場合、この主幹事証券会社が各証券会社にそれぞれが取り扱うIPO銘柄の株数を割り当てます。この時、通常、主幹事証券会社がIPOで発行される株式数の90%ほどを自分で販売し、残りの10%を多数の証券会社に分配・委託販売するという配分になり、中には全体の1%未満しか扱うことのできない証券会社もあります。そして、個人の投資家がIPO銘柄に投資を行うためには、各証券会社が行う公募での抽選に当たる必要があるため、取り扱い株数が非常に多い主幹事証券会社でIPO銘柄の公募に参加することが抽選に当たりやすくするための近道となります。
大手の総合証券会社にも口座の開設を
野村證券や大和証券といった大手の総合証券会社での株取引はネット専業の証券会社と比較して手数料が高いため、口座を持っているのはネット証券だけという投資家の方も多いかもしれません。しかし、この主幹事証券会社に選ばれるのは、ネット証券ではなく野村證券や大和証券といった営業力・販売力に優れた大手の総合証券会社です。そのため、普段の株取引はネット証券で行っていたとしても、IPO投資を考えている場合には大手の証券会社に口座を持っておいた方がよいでしょう。