アロケーションとは
アロケーションとは、日本語では「割り当て」や「配分」という意味になり、投資においては、一般的にどの資産にどれだけの資金を配分して保有するのかということを意味しています。
例えば、資産の保有の仕方には、現金として銀行に預けておくだけでなく、株式や債券、不動産、金として保有したり、また株式の中でも日本株式なのか、発展途上国の株なのかといったように、様々な資産の保有の仕方があります。こうした数ある資産に対して、保有している資金をどれだけ配分するのかというのをリスクとリターンを考えながら、決定することがアセットアロケーションとなります。
卵は一つのかごに盛るな
なぜアセットアロケーションが必要となってくるのでしょうか。それはリスクを分散させることで、安定的に投資で利益を出すために必要だと考えられているからです。投資の世界で有名な格言に「卵は一つのかごに盛るな」というものがあります。卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合には全部の卵が割れてしまい、大きな損失を被る可能性があります。しかし、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、一つのカゴを落としたとしても、それ以外のカゴに盛られた卵は被害を受けずに済むということです。
実際の投資では、卵は投資家の大事な資金で、またカゴは投資先だと考えてください。例えば、日本株に全ての資金を投入してしまった場合、日本株が好調であれば問題はありません。しかし、ひとたび日本の景気が悪くなり、日本株の株価が低下すると、大きな損失を被ってしまいます。しかし、その際に一般的に、株価が低下すると価格が上昇しやすい金を購入しておけば、日本株で損を出しても、金で利益を出すことができ、全体として損が出ない、もしくは利益が出ているという状態にすることができます。このように、一つの投資先に資金を集中的に投資するのではなく、分散投資を行うことで、投資成績を安定させることができます。そのため、アセットアロケーションという考え方が重要なのです。
自分がとれるリスクを考える
このアセットアロケーションを考える際に重要なことは、「今、自分がどれだけのリスクをとることができるのか、もしくは取るべきなのか」というリスク許容度です。例えば、まだ20代前半の大学生であれば、多少投資で大きな損失を出したとしても、まだまだリカバリーすることができます。そのため、ハイリスク・ハイリターンを追い求めて、不動産や株式といったリスク資産に多くの資産を配分するのもよいでしょう。しかし、定年を迎え、退職金2000万円をもらったという高齢者の方が大学生と同じアセットアロケーションをしてもよいでしょうか。もちろんこれには問題があります。株式や不動産への投資はハイリスクであるため、大きな損失を被ってしまう可能性が高い資産となります。そのため、退職金を株に投資し、その後株価が低下したため、退職金のほとんどを失ってしまったという事態にもなりかねません。そうしたことを防ぐためにも、ご高齢者の投資家の方は、現金や投資の中ではリスクの低い国債といった資産への配分比率を高めることが必要となります。
このように、年齢や経済状況、家族の状況といったものに応じて、投資家は取るべきリスクを変えなければなりません。そして、その取るべきリスクに応じたアセットアロケーションを考えることが必要となるのです。